英語脳をつくる
日本人が「英語脳」を身につけるためには、翻訳癖を抜ききる必要があります。これはコツさえつかんでしまえば難しいことではありません。
和訳癖がつかなかった
まずは私の場合についてお話します。私は学生時代ずっと英語が苦手で大嫌いだったのに加え、受験英語に参加しなかった(※附属高校に通っていたため)ので、学校教育の弊害である和訳癖が染み付かずに済みました。
義務英語(中学から大学2年まで)を終了してから中国語を始めたのですが、基本的に独学だったため、強制的に和訳をさせられることはありませんでした。
その後中国へ留学しましたが、留学先で一番初めに感じたのがリスニング力不足だったので、とにかくひたすら現地のラジオ放送を聞き続けていました。
訳していてはついていけなかった
このリスニングが英語で考える力をつける上で大きな役割を果たしました。
私の聞いていたラジオ局のニュースは他の局と比べても読み上げる速度が異常に速いものでした。
早いものを聞いていた方がリスニング力は上がるだろうという単純な考えで選んだのですが、このことが別の面で効果を上げました。
脳に次から次へと言葉が流れ込んでいるので、単語を聞き取ることに追われ、それをいちいち日本語に変換している暇がなくなってしまいました。
ふと気づくと、中国語を中国語のまま聞き取る癖がついてしまっていました。
発音の矯正
リスニング以外の要素として、発音を矯正したことが考えられます。
文法と語彙は国内でかなりやり込んでいましたが、独学だったため発音についてはかなりいい加減なものでした。
このいい加減だった発音を中国で矯正できたため、音と語彙を結びつけることができるようになったものと思われます。
思い込み
日本で英語の勉強し始めた際、英語力はほとんどありませんでしたが、「英語は英語のまま理解するものだ」、と思い込んでいたので、和訳しようという発想は初めからまったくありませんでした。
英語力がないので、初めはまったく理解できませんでした。しかし、そんなことは気にかけません。そのうち分かるようになるだろうと気軽に考えていました。
その後英語力の上昇に伴って、脳の中に英語で情報を処理する部分が育ってきました。
初期の段階では日本語に支えられるような感じでしたが、次第に独立していき、最後には完全に独立した思考体へと変化していきました。
参考になるかどうかは分かりませんが、この頃TOEICで800を越えたと記憶しています。
練習方法
私の経験から言いますと、和訳癖を直す方法として、以下の点がポイントになってくるものと思われます。
1.無理に理解しようとしない
リスニングにしても、リーディングにしても、語学力が低い段階では内容をすぐに理解するのは難しいものです。
しかしながら、先にも述べたように学校では英文の内容を理解することを重視しますので、何かにつけて辞書を引き、和訳させてしまいます。
これが和訳癖をつける原因なのですが、逆に考えれば、すべてを理解しようとすることをやめれば、いちいち和訳する必要はなくなります。
すなわち、和訳癖をなおすには、すべて理解しようとすることをやめればいいのです。
よくわからないところはそのままにしておいてください。英語力が上がれば、そのうち英語のまま理解できるようになります。
ちなみに、理解しようとすることをやめるとかなり余裕が出てきます。その余力は単語の音を聞き取ることや、読むスピードを上げることに回してください。
2.発音
リスニングで日本語を介せず英語で情報を処理する場合、音を正確に捉えることが必要になります。
音の聞き取りがあいまいだと、全体の流れや文脈の中から理解しようとします。そして、理解しようとすると日本語で考えてしまいます。
この悪循環を断ち切り、音からそのまま英語の意味するものをイメージできるようになるためには、正確な発音を身につける必要があるのです。
3.リスニングと音読
リスニングは和訳癖を直すには最適な勉強法だと思われます。リスニングの場合いちいち後ろから訳している余裕はないからです。
これと同じような効果が期待できるものとして、音読があります。音読する場合、発音に注意が向くからです。
最近英語学習法として音読が注目されていますが、和訳癖をなおすという点からも、おすすめの学習法だと思います。音読については稿を改めて考えてみたいと思います。