多聴学習としての映画・ドラマ活用法
映画やドラマは英語学習に広く応用されており、その効果は既に既知のものとなっていますが、この映画・ドラマはリスニング多聴学習をすすめる上でも絶大な効果を発揮します。
映画は対訳付のスクリプト等が販売されていますので英語学習教材として広く利用されていますが、 個人的には映画よりドラマの方が英語学習により向いていると思います。
映画は2時間前後でしかないので登場人物の発音・アクセントになじむ前に終わってしまいますが、例えばアメリカのドラマの場合は1シーズンで20集、1話45分で 計算しても15時間分あります。
さらに人気シリーズはシーズンを重ねて行きますので登場人物の発音・アクセントによりなじむことができます。発音やアクセントに慣れるとずっと聴き取りやすくなるので勉強が楽しくなりますし、自信もつきます。
また、一概には言えないかもしれませんが、映画よりドラマの方が会話量が多いような気がします。英語学習として視聴している以上、会話量が多いことは重要なポイントです。
また、これは個人差があるとは思いますが、映画よりドラマの方が良質な教材を安定して手に入れることができます。
私はドラマや映画など映像素材に関しては選り好みする方で、勉強のためであっても、つまらない映画やドラマは見ない主義です。ドラマは自分に合ったものを見つければ長期間使えますが、映画はいい物でも悪い物でも2時間で終わってしまいます。常に自分に合った映画を選択できるとは限りませんので結果的に効率が悪くなります。
もちろん映画ならどんなものでも好き、とか勉強のためならつまらない映画でも苦にならないという方はこのような心配はないでしょうが。
ドラマの欠点といえばスクリプトが販売されていない点でしょうか。映画の場合は多くの対訳付スクリプトが販売されており、 ご丁寧に難易度まで表示されているので、自分の力にあったものを選ぶことができます。
一方ドラマはスクリプトが販売されていないようなのでWeb上で公開されているスクリプトを探す必要がありますし、その上これらスクリプトはマニアックなファンが テープおこしをしたものなので100%正確とは限りません。中には結構いい加減なものもありますので、リスニング力が低い方は特に注意してください。
おすすめドラマ学習素材
ここでは管理人のお気に入りで英語学習にも役立つドラマを2つほど紹介しておきます。
1つ目は『Friends』です。大変な人気で、10シーズンまで放映を重ねたドラマです。
ニューヨークを舞台にしたコメディで、ユーモアに溢れた内容となっているので、英語学習には最適だと思います。
また、人気シリーズということもあって、Web上にスクリプトを公開しているサイトもたくさんありますので、スクリプトも簡単に手に入れることができます。
私も『Friends』のDVDを購入し、ディクテーションやシャドウイングをしました。
ちなみにですが、『Friends』を利用される場合はseason1から視聴することをおすすめします。
season5あたりから視聴すると、おそらく何が面白いのかわからなくなります。
もう一つは『The Practice』です。法廷を舞台としたドラマなので多少難しい単語が多いですが、はっきりと発音されるので単語さえわかればかえって聴き取りやすいと思います。個人的には一番お気に入りのドラマですが、日本ではDVDとして発売されていないようなので、学習用としては使いにくいかもしれません。
もちろんドラマにせよ映画にせよ好き嫌いには個人差がありますので、ご自身でいろいろ見比べてみてから決めてください。
教材の利用
映画やドラマの英語は教材として製作されているわけではありません。上級者の場合はともかく、テキストに慣れきった初中級者が映画やドラマを学習教材として使用すると、どこから手をつけていいのまったく見当も付かなることもよくあります。
そこで、初中級者の場合いきなり生の映画・ドラマを教材とするのではなく、英語学習者向けに製作された映画・ドラマを先に学習することで、映画・ドラマを利用した学習法に慣れることも効果的です。
幸いにも英語の場合はこのような英語学習者向けのドラマ教材が販売されていますので、初中級の段階で映像教材を使用したい学習者はこれらを利用されることも一計です。
教材については、例えば次のようなものがあります。
映画・ドラマのセリフが聴き取れない
映画・ドラマがまったく聴き取れないことを苦にしている学習者がいますが、これは何も不思議なことではありません。
例えば、アメリカ映画のセリフはアメリカ人を対象として作成されています。したがって、たとえ単語が100%聞き取れたとしても内容を理解できるとは限りません。文化的、宗教的、歴史的背景知識がないと理解できないものも多数含まれています。
例えば、私が子供のころNHKの教育番組で「ノッポさん」というキャラクターがいましたが(今はどうなんでしょうか)、これを例えに出して理解できる外国人はまずいないと思います。日本人でも幼少期を海外で過ごした人は分からないでしょう。
このため、たとえTOEICで満点を取得しているような人でも映画はそうそう聴き取れるものではないので、聴き取れないからといって落ち込む必要はありません。
リスニング力が低い場合は先に日本語版を見てから英語版を見ることも有効です。事前に会話の内容が頭に入っていると結構聴き取れるものです。
また、これら文化的要因のほか、映画・ドラマのセリフが聴き取れない原因として、純粋に生の英語、特に日常一般にネイティブスピーカーの間で交わされる際の発音に慣れていない、という場合もあります。
特にアメリカ英語の場合音の同化や脱落が頻繁に行われるので、非英語ネイティブスピーカーにとって、もともと映画(特にアメリカ映画)は聴き取りづらいものなのです。
これら音の同化や脱落には一定の法則があり、これを理論的に理解することで、早期に映画やドラマの発音に慣れることができるようになります。
ここでは映画のリスニング練習用に設計された書籍を一冊ご紹介します。
『映画英語のリスニング―ボトムアップ式 CD book』
森田 勝之 (著)
映画・ドラマのリスニングを始める前に是非勉強しておいてもらいたい一冊です。
音の同化や脱落の法則は頭で理解しないとその存在にすら気づくことすら難しいやっかいなものですが、これを理論的に解説し、また練習できる書籍はほとんどありません。会話練習書はほとんど毎日のようにそこら中の出版社から出版されていますが、本当はこのような書籍を積極的に出版すべきだと思います。
これ一冊で音の同化や脱落の法則を学ぶことができます。映画・ドラマを利用したリスニングを始める前に本書を勉強されることをおすすめします。