リスニング学習法

精聴と多聴

本屋に立ち寄った際は必ず英語教材を見に行くようにしています。そこで気がつくのが、TOEIC等のリスニング対策学習書の量です。

TOEICでは全体の平均点はリーディングよりリスニングの方が高いのに、販売されている教材はリスニング対策学習書の方が多いというのも変な話です。

これは、おそらく日本人はリスニングに対して苦手意識を持っているためだと思います。その原因は、言うまでもないとは思いますが、明らかに学校英語でしょう。

学校ではあまり、というかほとんどリスニングの練習をしませんでした(最近はどうだか知りませんが)。

加えて英語の発音は日本語の発音と乖離が大きいので聴き取れる訳がありません。そこでリスニング対策を、ということなのでしょう。

リスニング力はリスニングで強化

そこでリスニング力強化が課題となってくるのですが、リスニング力を高めるためには結局のところ英語を聴くよりほかありません。

問題は聴き方ですが、リスニング訓練方法は基本的に2種類の方法に大別されます。それがいわゆる「精聴」と「多聴」です。

どちらを重視すればよいかという点に関しては多少意見の相違もあるようですが、私の意見を先に申し上げますと、どちらも重要です。

…こんな回答ばかりですみません。

もっとも、一口に「精聴」「多聴」と言っても具体的な訓練方法についてはいろいろあるので、一概に是非を判断すること自体無理があるのですが。

この「精聴」と「多聴」ですが、初級段階では「精聴」に重点を置き、その後語学力の上昇に伴って「多聴」に重点を移していくのが最も効果的です。

初級段階におけるリスニング学習

初級段階では語彙力に限りがあります。多聴を行うと始めから終わりまでまったく聴き取れない状態のままになります。

これが平気な学習者の場合はこれでも効果はあるのですが、多くの学習者にとって、何を言っているのかわからないものを聴き続けるのは苦痛以外の何物でもありません。

英語の上昇に伴って聴き取れる語彙は増えていきますが、程度の差こそあれリスニング力の向上を実感できるまで数ヶ月を要するので、無計画な多聴は挫折の要因となりかねません。

一方精聴の場合は繰り返し聴きますので、最終的にはほぼ聴き取れるようになります。

聴き取れるようになるとどの単語がどのように発音されるのか確認できるようになるので、別のスクリプトを聴いてもその単語は聴き取りやすくなります。

学習初期段階では基礎的な文法項目・語彙等について徹底的に基礎を固める必要がありますので、このような繰り返しによる基礎力の強化は、その後の中期、後期段階における学習方法を考える上でも重要です。

なにより大きいのはやはり聴き取れることに対しての喜びでしょうか。これまで聴き取れなかったものが聴き取れるようになると自信がつきますし、学習継続の原動力となります。

英語学習においては、初級のハードルを越えると挫折する可能性が大幅に低下します。

初級段階では学習に対して興味を失わないようにすることが重要なので、手当たり次第に聴き取れないものを聴きまくって挫折感を味わうようなことは慎むようにしてください。

とにもかくにも、初級段階における精聴の有効性は語学教育の現場で既に実証されていることなので、とやかく言わず実践されることをおすすめします。

この件に関しては英語ことはじめの「理論派と経験派」で紹介した書籍に詳しくレポートされています。ご興味のある方は別途ご参照ください。

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