英語ことはじめ

英語とは

よく「敵を知り己を知れば百戦百勝」といいますが、英語学習でも同じことが言えます。

「自己分析」は終了したので、次は習得対象となる言語です。

習得する言語がどのような特徴をもっているのかということを事前に知っておくことは、自己分析と並んで学習法の構築に不可欠な作業です。

言葉には歴史がある

言語にはそれぞれ歴史と、それに由来する特徴があります。英語もその例に漏れません。現在の英語はゲルマン系の民族が使用していた言葉に、ラテン語が流入し、融合した言語です。

英単語は一見規則性のないアルファベットの組み合わせのようにも見えますが、実は多くが意味のある組み合わせによって構成されています。語源学習法はこの特質を利用したものです。

英語の語源について調べますと、歴史的な背景が現代英語形成に大きな影響を与えていることがわかります。

1066年のノルマン・コンクエストで、イングランドはノルマンディーに定住したバイキングのノルマン人に征服されました。

ノルマン人はフランス語を使用していましたので、上中流階級はフランス語を、一般大衆は英語を使うといったように、階級別で言語が共存することになりました。

ちなみに当時の英語は文法もいいかげんで、下品な言葉として軽蔑されていました。

ところが、フランスとの百年戦争(1337年~1453年)の際、フランス語は敵国語として否定され、英語に一本化されました。この時フランス語・ラテン語由来の語彙が英語に流入しました。

さらにその後、ルネサンス期にも学術関係の語彙を中心に大量の外来語が流入し、その際英語に足りない語彙をラテン語から大量に導入しています。現在の英語の語彙の中にはフランス語・ラテン語由来の単語が大量に入っているのはこれらの理由によります。

現代に残る言語史の跡

不規則動詞というものを憶えていますでしょうか。過去形は語尾に「ed」をつければよい、と言っておきながら、「例外がある」とか言って不規則変化を暗記させられます。

あの不規則変化をする単語がゲルマン系の単語です。文法がいいかげんだった名残がしっかり残っています。

一方、フランス語・ラテン語は文法がしっかりしているので、不規則な変化は起こしません。

英語はもともと大衆の言葉だったので、日常的に使用する語彙にはゲルマン系の言葉が多くなる一方、政治や法律等学術に関する語彙はラテン語に由来するものが多くなります。

また、英単語の勉強を続けていくと、ある一定のレベルから単語が論理立ってくることに気がつきます。

これは、いわゆる難易度の高い(頻出度の低い)単語はラテン語に由来するものが中心であるからです。

このように調べてくると、語源を利用した単語の学習は難易度の高い単語に対して有効であることがわかります。

また、同じくラテン語に由来する語彙をたくさん持つ言葉(フランス語等)を勉強する時、英語で学んだ語源の知識が役に立つことがわかります。

思わぬ収穫が

語彙の歴史以外にも、英語にはまだまだいろいろな話があります。これに由来する英語の特徴を知っておくことが、英語を習得する上で大きな助けになることがあります。

別に言語学者になるわけではないのですから、かじった程度の知識で十分です。学習を進めていく中で、その知識が思わぬヒントになることがあります。

英語習得という長旅に出る前に、このような知識を知っておけば、旅の途上で不必要なり道をすることを回避することができるのです。

せっかくですので、英語の語源に関する書籍を一冊紹介しておきます。

『英語の語源』  渡部 昇一(著) (講談社現代新書)

西洋の言語との関連だけではなく、大和言葉や漢字など日本語との対比もされていて、大変興味深い本です。

英語の語源というタイトルですが、その実は語源に止まらず、広くヨーロッパの言語文化を知ることができます。

私たちが何気に使っている「ネイティブ」という言葉の語感は「土人」であると知り、軽々しく使うのはやめようかと思いました。

英語やドイツ語などのヨーロッパ系の言語を学ばれている方には一読をおすすめします。

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