TOEIC攻略法

TOEICリーディング文法パート(Part5・6)を攻略する

TOEICパート5とパート6は文法問題です。問題の特徴として、文章構造を理解する上で必要になるものや、文章のニュアンスを伝えるために補助的な役割をしているものが問われる傾向があります。

コミュニケーション能力を測る試験なので、文法問題といってもいわゆる文法のための文法問題は問われません。このため、先にも述べましたが、難解な問題は含まれていません。

基礎文法から

難解な問題はないと言っても、基礎文法力に欠けるような学習者の場合(リーディングのスコアが250以下)は基礎文法から学習しなおす必要があります。

英語における文法学習については別途まとめたものを「「英語の五要素(発音・文法・語彙・修辞・知識)」」で公開していますので、まずはこちらをお読みください。

その上でのお話となりますが、TOEICで問われる文法力を効率よく高めるにはやはりTOEIC対策として書き下ろされた文法書に当たるのが効果的です。ここではおすすめの文法書をご紹介しておきます。

『TOEIC TEST文法完全攻略』 石井辰哉(著) 明日香出版社

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タイトルはTOEIC TESTとありますが、実際にはTOEICに出題されなくなっている項目も含まれています。とはいっても、英語を使用するにはそれらのいずれも重要になるものばかりです。

TOEIC対策ばかりに走るのではなく、英語力そのものを底上げするにもそれらの文法項目は重要になるのでまとめて学んでおいてください。

基礎の基礎からまとめられているので、英語やり直し組には特にお勧めできます。リーディングスコアが250以下の方におすすめです。

なお、改めて申し上げておきますと、TOEICは文法的知識を問うものではなく文法的処理能力を問うものなので、書籍の内容を覚えたからと言ってすぐ高得点を叩き出せるというわけではありません。その下地を作るための学習書です。

TOEIC文法パートの問題形式に慣れる

TOEICも試験ですので、問題には一定の傾向やパターンが存在します。これらを知らずにTOEICを受験すると、本来持っている文法力を過小に評価されてしまいます。

TOEIC対策問題集などに当たることによりTOEIC文法パートで出題される文法問題の傾向・パターンに習熟することで、始めて本来の文法力を発揮することができるのです。

TOEICリーディングのスコアが300以下の方で、TOEIC対策問題集をやりたいという方には次の問題集がおすすめです。

『TOEICテストスーパートレーニング 文法・語法・正誤問題編』
木村哲也・ジョセフ ラペンタ・水嶋いづみ(著)、 Joseph LaPenta (原著)

本書はやさしめの問題を使用しているので初級者には最適です。解説も簡潔明瞭で親切ですので、解説を解説してほしいという事態に陥ることもありません。

構成は大きく分けて第1部と第2部の2部構成で、第1部では「ポイント別要点」として文法項目ごとに解説されています。例題と合わせて解説がなされているので、さっと見ても分かりやすいレイアウトになっています。また、第2部は「実力問題」として問題演習が用意してあります。

問題はやさしめと言いましたが、実際のTOEIC試験の文法問題の大半はこの程度のレベルですので、このレベルの問題をすばやく解答できるようになると、スコアを大きく伸ばすことができます。

TOEICリーディングのスコアが300以上の場合

TOEICリーディングのスコアが300以上ある方は既にTOEICに必要になる文法事項は基本的に習得できていますので、実践問題を解く中で文法事項を確認するようにしてください。リーディングのスコアが350ぐらいまでの方には次の学習書がおすすめです。

『TOEIC TEST文法別問題集―200点upを狙う780問』
石井辰哉(著) 講談社

この学習書の特徴は文法を項目別に分類して編集してある点です。範囲はかなり広範で、実際にはTOEICでは見られない項目についてもカバーされています。

構成が独特なため好き嫌いがあるかもしれませんが、文法に対する理解度を深めるのには有効だと思われます。また、純粋に問題集として考えても、780問というボリュームは魅力です。

私も本書で文法事項を再確認しました。スコアが高くなっても意外とあやふやなところがあるものです。問題を解きながらも文法事項を改めて確認しなおしたいという方にはおすすめの一冊です。

余談ですが、200点up の根拠がわかりません。おそらく出版社が販促のためにつけたのでしょう。『TOEIC TEST文法別問題集780問』ではインパクト不足です。良書でもこんなタイトルでもつけないと売れないというところが悲しいですね。

語法の重要性

TOEIC文法問題において、文法と関連して、というよりも注意しなければならないものとして、語法の存在があります。

文法という言葉は広く使用されていますが、その一方で語法という用語はあまり普及していません。語法が何を指すのかよくわからない方もいるかもしれませんので、まず文法と語法の違いについて簡単に解説してみたいと思います。

文法とはその言語における普遍的なルールのことです。例えば、文章は主語から始まり、述語、目的語と続く、とか、過去の表現は動詞を過去形にするとかいうものです。

これに対し、語法とは個別の単語にのみ通用する用法のことを言います。平たく言えば一つ一つの単語の使い方です。たとえ文法的に正しくても、語法を誤ると不自然な表現になります。

このため、スピーキングやライティングのように自分から言葉を発信するような場合、語法はたいへん重要になります。

TOEICにはスピーキングやライティングの試験はありませんが、リーディングの中にこれら語法の要素を混ぜることにより、間接的にスピーキングやライティング能力を測ることもしています。決して無視できない存在なのです。

語法力をつけるにはライティングが有効です。しかし、TOEICのような資格試験で問われる語法問題に対応するだけなら、多くの問題をこなす方が効率的かもしれません。

そこで、ここでは語法問題にも配慮して作製された問題集をご紹介します。多くのTOEIC対策問題集をやってきましたが、このTOEIC文法パート対策としてはこの一冊が最も優れていたと思います。おすすめの一冊です。

『〈パターンで解ける〉TOEIC TEST文法・語法』
藤井 哲郎・ Will Flaman (著) 語研

本書の特徴はパターン分析と認識訓練に重点を置いているところです。TOEICパート5とパート6でスコアを伸ばすには設問のパターンを見抜くことが必須です。本書では11のパターン(語彙・品詞・つなぎ言葉・代名詞・動詞型・前置詞・WH語・比較・数の一致・余分な語・抜けた語)に分けて分析するよう構成されております。

これができるようになればTOEICのリーディングで400ぐらいは取れるようになります。

解説も納得できるものが多く、TOEICで高得点を取得している人でも学ぶべきものがたくさんあります。問題もよく練られており、他の問題集にあるような明らかにTOEICらしからぬ問題は全くありません。問題数も500問と十分に用意されているので、本書をやり抜けばTOEICのパート5とパート6はかなり楽になると思います。

私も本書を繰り返し練習しました。パート5とパート6に対して自信をもって挑めるようになったのはこの学習書のおかげだと考えています。

なお、一点だけ注意すべき点があります。問題のレベルが多少高めに設定されているので、TOEICリーディングパートのスコアが300以下の方は問題が難しく感じるかもしれません。

先に紹介した『TOEICテストスーパートレーニング 文法・語法・正誤問題編』や『TOEIC TEST文法別問題集―200点upを狙う780問』で一通りの文法を学習されてから挑戦されることをおすすめします。

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TOEICリーディングパートのパート5とパート6に関して言えば、最後はこなしてきた問題数がものをいいます。問われるものが文法知識ではなく処理能力であり、設問に対する反射神経が問われるためです。一種の頭脳スポーツと考えた方がいいでしょう。

スポーツである以上実践(試験)で結果を残すには日常の反復練習が欠かせません。

もちろんTOEIC対策問題集ならどんな物でもいいという訳ではありません。なるべく本物の試験に近いものに多く当たることが、TOEICスコアアップの近道となります。

一方でよく本屋さんで上級者向けのTOEIC文法書を見かけますが、これらの文法書に掲載されているような難易度の高い文法はTOEICではほとんど出題されません。あまりに難しいものに慣れてしまうと逆に深読みしてしまい、本来簡単に正解できるものまで間違えてしまう可能性すらあります。

リーディングパートで400を超えたらいわゆる「TOEIC文法問題対策書」は止めて、模擬試験等なるべく本番とおなじ形式の問題をこなすようにした方がいいでしょう。

もっともリーディングパートで400を超える方は既にAクラスかほぼそれに近いレベルに到達しているでしょうから、TOEICそのものから離れてより実用的な面の英語力を伸ばす方がより賢明かもしれません。

以前にも述べましたが、TOEICはあくまで資格試験です。目先の点数に固執せず、実用的な英語力を高めることに力を入れてください。

TOEICリーディングパート6対策としてのライティング

最後にTOEIC試験最大の難関、TOEICリーディングパート6について考えてみたいと思います。

先にも述べましたが、パート6はライティング能力を測ることを意識した構成になっています。ということは、ライティング力を伸ばすことによりTOEICパート6のスコアも伸ばすことができるはずです。

一般にTOEICで600台に突入するとパート6に対して明確な苦手意識が生じます。

そこで、TOEICで550前後に到達したら、英語学習初期段階で学習した文法項目の復習と血肉化を兼ねて日常の学習にライティングを加えることをおすすめします。

ライティングを通して身につけた文法知識は非常に強固なものなので、一生の財産になります。

書くという作業はかなり大変で、特にやり始めの頃は想像以上に筆が進まないので挫折しやすいのですが、効果は抜群なので特に本格的な英語力を身につけることを考えられている場合は積極的にライティングを取り入れてください。

ここではおすすめのライティング学習書を一冊ご紹介しておきます。

『書く英語・基礎編』 松本 亨 (著)

往年の名著の改訂版です。英語関連の出版物が乱版される中、品質の劣る学習書は瞬く間に姿を消していきます。

逆に考えると、何十年経っても本屋さんの本棚から消えない、いわゆる名著と呼ばれるものはやはりそれだけのものを持っているということです。

ここで紹介する『書く英語・基礎編』もその一つだと言えるでしょう。著者は英語学習者なら知らない人はいないと思いますのでここでは割愛させていただきます。

本物の英語力を身につけたいと思っている学習者の方には文句なしにおすすめできる一冊です。

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