TOEICリーディング、その傾向と対策
TOEICのリーディングは文法と読解から構成されていて、一見すると学校で学んできた英語で対応できそうな気がしますが、その実は学校で受けてきた試験とはまったく異質なものです。
TOEICリーディングの文法問題には難解なものはほとんど含まれていません。中学・高校文法で十分対応できるものばかりです。
コミュニケーションに重点を置いている試験なので、読解問題も広告やメールなど生活に密着した題材のものばかりで、抽象的・学術的な内容のものはありません。時間さえあれば誰でも解けます。
しかしながら、TOEICが受験者に求めている能力は受験英語で求められる文法読解能力とは全く異質なものです。それが何なのかについては、これまで何度も述べているので既にお分かりだと思います。TOEICリーディングで要求される能力は「処理速度」です。
TOEICリーディング各パートの特徴
TOEICリーディングパートの問題数は半端ではありません。TOEICのリーディングは3つに分かれていますが、文法問題のPart5とPart6は1問あたり30秒以内、 読解問題のPart7は1分以内で解答する必要があると言われています。
TOEIC公式サイトでは、それぞれのPartについて下記のように説明されています。
- Part5 文法・語彙問題 40問
- 不完全な文章を完成させるために、4つの答えの中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。
- Part6 誤文訂正問題 20問
- 下線を引いた4つの単語や語句のうち、訂正されるべきものを選んで解答用紙にマークする。
- Part7 読解問題 40問
- いろいろな文書が印刷されている。質問を読み、4つの答えの中から最も適当なものを選び解答用紙にマークする。各文書には質問が数問ずつある。
このうち、Part5とPart6は同じ文法系のパートですが、難易度はPart6が高くなります。500~600点台のスコアを持っている学習者が最も苦手にするパートです。
Part7は難しくはないのですが、Part5とPart6で時間を使い果たした状態で解答する受験者が多いので、正解率はあまり高くないようです。リーディングパートで厄介なところはこの時間切れ現象です。リスニングと違ってペースメーカーがないリーディングは、自分で進捗状況を管理する必要があります。
文法問題で1問30秒というと、ほとんど考えている暇などありません。問題を読んだら瞬時に解答をださなければいけないぐらいの時間しかないのです。分からない単語にぶつかって考え込んだりしたら、その時点でアウトです。
TOEICのコンセプト
リスニングも含め、TOEICでは迅速に処理する能力を重視しています。これは処理能力こそがコミュニケーションや実生活の中で最も重要になる能力であるためです。TOEICは終始このコンセプトで貫かれています。
電子メールが日々加速するビジネスの一部分として欠かせない存在となり、またインターネットの発達により情報が氾濫する時代となる中で、リーディングにおける迅速な処理能力がますます重視される世の中になってきております。
時代は「情報を探す」時代から「情報を選別する」時代へと変遷しています。おそらくTOEICも今後もますますこの方面の能力を重視するようになるでしょう。
TOEICリーディングパートのスコアアップのためには、このようなTOEICリーディングの特徴を踏まえた上で学習を進めていく必要があります。