TOEICリスニングパート解答テクニック
TOEICリスニングパート1解答テクニック
パート1はTOEICリスニングパートの中で最も難易度の低いパートです。
正直なところ、このパートで解答テクニックを駆使しなければいけないような場合は、テクニック云々より英語力そのものの向上に力を入れた方がいいでしょう。
とはいってもこれで終わっては何なので、ちょっとしたTipを残しておきたいと思います。
TOEICリスニングパート1は写真を見て答える問題なので未来形や過去形の文はありません。ほとんどが現在形と現在進行形です。
写真に基づいて出題されるので、位置関係や状態を問う問題が多くなります。従って、位置関係を表す前置詞や状態を表す動詞や形容詞に留意するようにしてください。
この他に意外と盲点となるのが看板や標識です。景色に溶け込んでしまい見落としがちですが、看板や標識に書かれている内容が問われる場合があります。
標識といっても簡単なもので、「No Smoking」、「Closed」あるいは「→」などです。見落とさないようにさえすれば問題ありません。
また、これはリスニングパート1とパート2に共通して言えることなのですが、発音のよく似た単語が引っかけとして使用されています。
workとwalkなど、発音は似ていても意味が全く異なるような単語は多数存在していますので、語彙学習の際これら似た発音を持つものについては留意しておいてください。
また、問題文が読み上げられる前に写真から問題を予測するのも有効な方法です。自分が出題者だったら写真からどのような問題を作るか考えてみてもいいかもしれません。
また、問題文が読み上げられる前に写真の中に掲載されている事物の英語を頭の中に浮かべておくことも有効だと思われます。
ただし、馬の写真が載っていたからといって馬の単語が入っている文章が正解だとは限りませんので注意してください。
TOEICリスニングパート2解答テクニック
TOEICリスニングパート2はパート1に次いで正解率の高いパートです。出題される英文には難解なものは含まれていません。印刷されたものを見ればだれでもすぐ解答できるものばかりです。
しかし、問題文は一度読み上げられるだけなので難易度は決して低くありません。
文が短い分前後の文脈などから内容を推測するという推測力に依存した方法を使用することができません。
また、パート1のように写真もなければ、パート3・パート4のように印刷された設問もないので、10語に満たない短い文を一度聞いただけで意味を取り解答する必要があります。このため高い集中力が要求されるセッションになっています。
「何について」の問いかけか?
問題文は問いかけなので必ず疑問文になります。そこで、第一のポイントとなるのが「何について」問いかけてきている疑問文なのかを正確に把握することです。
基本的に疑問文はどの疑問詞を文頭に置いているのかで問いかけの内容が決まります。
このため、文頭の疑問詞は是が非でも聞き取る必要があります。これはTOEICリスニングパート2の最重要項目です。
最初の単語がwhoなのかwhenなのか、あるいはwhereなのかhowなのかという部分だけで解答がほぼ決まってきます。問題文を聴く際は文頭に最大限の注意を向けてください。
とはいっても、whyで聞いてきているからといって必ずしもbecauseで答えているわけではありません。文の形ではなく、文意がかみ合うものを選ぶ必要があることに注意してください。
また、これら疑問文は大きく分けてYes/Noで答えるものと、具体的な場所や人等を答えるものがあります。
5W1Hの問いかけではYes/Noは使えません。5W1Hから始まる問題の選択肢の中にYes/Noが入っていたら、無条件で選択から外してもいいでしょう。
そうすればそれ以外の部分を全く聞き取れていなくても50%の確立で正解することができるようになります。
なお、これとは反対に注意しなければいけないことがあります。先にも述べましたが、 Yes/Noで答えることができる疑問文でも、あえてYes/Noを使わず回答する問題がたくさんあります。
「Do you know・・・」で始まるような文だからといって、安易にYes/Noで返答している選択肢を選ばないようにしてください。
時制はどうか?
第二のポイントが時制です。質問の時制が過去形・現在形・未来形のどれだったかということが問題のポイントになる場合がよくあります。
疑問詞や文章全体の意味にばかり気を取られていると、動詞の時制を聞き逃してしまうことがよくあるので気をつけてください。
発音に注意
パート1のところでも述べましたが、類似の発音を持った単語は引っかけとして多用されます。特に単語一語のみ聞き取れたというような場合は単語を取り違えている可能性があるので注意してください。
TOEICの心理戦
TOEICリスニングパート2にはもう一つ面白い特徴があります。これはTOEICで高スコアを取るようになって気づいたのですが、問題文の中で出現した単語(主に文章の意味を取る上で重要になる名詞・動詞)が選択肢の中に含まれている場合、その選択肢は不正解になるというものです。
TOEICリスニングパート2は問題文・解答選択肢共に印刷されていないので、すべて耳に頼るしかありません。
リスニング力が低い場合聞き取れる単語が少ないので、わずかに聞き取れた単語から解答を推測することになります。
例えば、問題文の中にproductionという単語が含まれていて、文章の意味は取れなかったけれども、productionという単語があることはわかったという場合、選択肢の中にもproductionという単語があると、心理的にこの選択肢を選んでしまう傾向があるようです。
TOEICではこの心理的傾向を逆手に取り、リスニング力の低い受験者を振り分けるため、この選択肢を不正解にしているようです。
これを裏付ける資料として、TOEICを制作しているアメリカのETS(Educational Testing Service)の内部スタッフに心理学者が含まれていることが公表されています。
これはTOEICの問題制作において、心理学的要素にも配慮されていることを意味しています。
私たち受験者の立場から考えると、このTOEICの特徴を逆手に取ることでスコアを伸ばすことができます。
解答に迷った場合、問題文と同じ単語が含まれている選択肢を外すことにより、正解する可能性を高くすることが可能になります。
ただし、この方法はテクニック的側面が非常に強いので、これによってスコアを上げることはできても実用性はまったくありません。
このような小手先のテクニックばかり追いかけるのではなく、実力そのものを上げることが重要であることを肝に銘じておいてください。
TOEICリスニングパート3・4攻略のための先読み法
以前「TOEICリスニング、その傾向と対策」でも言及しましたが、TOEICリスニングパート3とパート4は純粋なリスニングに止まらず、文章を読む能力が要求されます。
そして、実のところTOEICリスニングパート3とパート4で最も重要になるのはこの「読む力」です。TOEICリスニングパート3とパート4で高得点を上げるためには、問題文が読み上げられる前に設問に目を通しておくことが不可欠だからです。
これは考えられているほど容易なことではありません。何しろ時間が短いのです。
問題の間隔はおよそ7秒前後と言われています。この間に解答を終えて、さらに次の問題の設問を読むのです。これには高いリーディング能力が要求されます。
設問先読みの重要性
例えば、もし先読みをしないとどうなるでしょうか。
問題を聞いている段階では何を問われるのかわかりません。よって、全ての内容を記憶に留めておかなければなりません。テープが終了してから設問を読み、さらに選択肢から正しい解答を選びます。
時間はわずか7秒です。リーディング力が低い場合、問題文を読み終わる前に次の問題が始まってしまいます。
たとえ7秒で問題文を読み終わるだけの力を持っていたとしても、内容を記憶に留めておくことはこれまた大変なことです。
出発の時間が8時だったのか、それとも9時だったのか。あるいは約束の場所はホテルのロビーだったか、それとも空港だったか。ほとんどの場合問題文を読んでいる間に忘れてしまいます。
これがTOEICリスニングパート3だったらまだ可能かもしれません。短い会話に設問が1つです。しかし、TOEICリスニングパート4では文章はずっと長くなり、しかも設問は少なくとも2つ、問題によっては3つあります。もしこれができるのならば、通訳の道を進むことをおすすめします。
設問先読みの効果
これをもし先読みしたとするとどうなるでしょうか。問題が始まる前に「何」について答えるのがわかっています。そこで聴きながら答えを探すことができます。いちいち記憶に留めておく必要はありません。
これは特に数字や日付など数字が絡む問題の場合より力を発揮します。記憶に留めてある文章の中から数字を引き出すのはかなり困難な作業になりますが、聴きながら該当する数字を聞き分けるのは簡単なことだからです。
また、問題が始まる前に何について答えるのか分かっているということは、問題文を聴く前にどのような内容のものが読み上げられるのか見当がつきます。心の準備をしておくことができるのです。
また、聴きながら答えを探すことができるので、問題文が終了した時点ですぐに解答できます。場合によっては問題文が読み終わる前に解答を終えることもできます。
特にTOEICリスニングパート4の問題の中には問題文の前半を聴いただけで全ての問題に解答できるようなものもあります。
このような場合時間にゆとりが出るので、前の問題が終了する前に次の問題の設問をじっくりと読むことすら可能です。
先読みの利点はこれらに止まりません。時間にゆとりができると心理的にもゆとりが生まれます。
常に問題に追いかけられながら解答するということは大変ストレスのかかることで、場合によっては本来持っている英語力を発揮することすらできなくなってしまいます。
このため、TOEICリスニングのパート3とパート4に関しては速読力が物を言うと私は考えています。
一般にTOEICはリスニングが占める割合が大きいと言われていますが、私はそうは思いません。
後に詳述しますが、リーディングパートでも時間的ゆとりがないことを考えると、TOEICで最も重要になるのは「速読力」だと言っていいと思います。
TOEICと速読力
これは私の経験からの推測ですが、私が短期間でTOEICのスコアを伸ばした理由はリーディング力にあると思います。
自分で言うのもなんですが、リーディング力には自信があります。TOEICで500を超えた時点で日本語の新聞を絶ち、情報源は英字紙のみ、という環境をつくりました。
それ以外にもインターネットなどを通してなるべく多くの英文に接するよう日頃から心がけていました。
英文に接していた時間は一日平均で1時間は軽く越えていたと思います。休みの日などは4~5時間のリーディングを行っていました。
800を超えてからはTOEIC対策の学習を止めましたが、それから1年で900になっています。この間もリーディングの分量自体は維持していました。
ここからもTOEICにおけるリーディング力の重要性を窺うことができると思います。
実用性の高い速読力
TOEICで速読力が重要になるのは、(特にビジネスにおける)コミュニケーション力を測ることに重点を置いているからだと思われます。
ビジネス英語というと会話ばかりに焦点が集まりますが、実際には話す機会より読む機会の方がずっと多いのです。
ビジネスの世界はスピードを重んじます。生産性に直結しますから。一つのメールを読むのに数十分要するリーディング力など、ビジネスの世界でははっきり言って使い物になりません。
話が少し逸れてしまいましたが、いずれにせよTOEICで高スコアを獲得するには速読力が重要です。リスニングパートが苦手だからと言ってリスニング学習ばかりしてきた方には、一度趣向を変えて速読の訓練をされることをおすすめします。
TOEICリスニングパート3解答テクニック
TOEICリスニングパート3は2人の人物による会話形式です。A→B→Aの順番で発話され、3つの文で会話が完結します。
対策といっても先に言及した先読みが最重要です。リーディング力が低く選択肢まで読みきれない場合でも、質問文だけは読むようにしてください。
問題は2人の人物による会話から形成されていますが、解答に直接関わるのはそのどちらか一人の発言です。これが掴めるようになると解答につながる文に集中することができるようになります。
また、TOEICリスニングパート3では時間的なゆとりがないので、一問つまずくと後に響きます。下手をするとドミノ倒し状になって後に大きな影響を与えることもあります。
つまずくような問題はいくら考えてもあまり正解になりません。それよりも本来正解することができる問題をつぶしてしまう方がもったいないです。
そのため、1つの問題にこだわらず、曖昧なものは適当に答えて次の問題に集中力を移してください。この方が結果的に被害は小さくなりスコアも伸びます。あくまでもテンポ良く解答することを心がけてください。
TOEICリスニングパート4解答テクニック
TOEICリスニングパート4は説明文形式です。ある程度の長さの文章が読み上げられるので、それを聴いて解答を選びます。
内容は店内アナウンスやCM、機内アナウンス、天気予報、ニュースなど、英語圏の人が普段の生活の中で耳にするものです。
TOEICリスニングパート4は説明文形式なので、まず問題文がこれらのどれにあたるのかを聴き分けることが先決です。
そこから話し手・聞き手は誰か、また何を意図したものであるのかということを推測してください。
先にも言及しましたが、TOEICリスニングパート4は英語圏の生活の中で一般に耳にする素材なので一定のパターンがあります。
機内アナウンスだったら目的地到着時刻についてのアナウンスが多くなります。バーゲン広告だったらバーゲン期間についての情報が必ず含まれてきます。
これら文章には必ず目的があり、そこを聴き取ることが重要です。他の部分が聞き取れなくても、ポイントになる単語を拾うことができたら正解することも可能です。
また、TOEICリスニングパート3と同じく、パート4も先読みが肝心です。先読みをしておくと、聴き取るべき単語(キーワード)が何なのかわかるからです。
TOEICリスニングパート4では全文、一字一句聴き取る必要は全くありません。設問を先に確認し、答え(キーワード)が出てくるまでじっと待ちましょう。
答えが出てきたらすばやくチェックします。律儀に問題文が終わるまでまっている必要はありません。すべて分かったらさっさとマークし、次の問題の設問に目を通してください。
TOEICリスニングパート4で重要なことはキーワードを聴き取ることであって、文章全文を理解することではありません。知らない単語が出てきたといっても気にしないようにしてください。キーワードさえ聴き取れればいいのですから。
なお、注意しておかなければいけないこととして、TOEICリスニングパート4には選択肢の中でキーワードを言い換えている解答があることです。
日頃から英英辞典を使用している人はいいのですが、学校英語ではこのような表現言い換え練習はほとんどしないので、これに戸惑う受験者が多いようです。
対策としては、日常の学習の中で英語を英語で捉え、考える習慣を養うようにしてください。
このような習慣を養うには英英辞書を使用することが最も効果的なので、TOEICの学習を機に英英辞典を使用されることをおすすめします。
英英辞書の使用については「辞書の使用について」で詳述しております。別途ご参照ください。
Directions放送時間の有効利用について
最後に補足としてTOEICリスニング各パートの冒頭で流れる「Directions」時間の有効利用について考えておきたいと思います。
手元にある問題集の中で、実際のTOEICで使用されるDirectionsと全く同じものを掲載しているものがあったので、各パートのDirectionsの時間を計ってみたところ、結果はそれぞれ下記のようになりました。
なお、リスニングパート1にはリスニング試験冒頭のListening Comprehension部分も加えています。
- Part1: 1分20秒
- Part2: 1分
- Part3: 38秒
- Part4: 32秒
リスニングパート3とパート4はサンプル問題がない分短くなっています。また、パート3とパート4はそれぞれ先読みをしなければいけないので、この時間をこれ以外の用途で使用することはできないと思われます。
一方、リスニングパート1とパート2は先読みするものがない上に、サンプル文がある分だけ時間が長く多少手持ち無沙汰に感じます。この時間を何とか利用したいものです。
現状既に受験者の多くが、それぞれの方法でこの時間を利用しているようです。中にはリーディングの問題をやっている人もいます。
リスニングの時間にリーディングの問題をやってはいけないという禁止事項はないようですから、別に違反行為にはなりません。
リスニングパート1とパート2合わせて2分以上あるので、1問30秒で計算すれば、4問できる計算になります。リーディングパートで時間不足になる方の場合は、この方法でリーディングパートの問題数を稼いでおくのも手かもしれません。
ちなみに私の場合ですが、パート3とパート4の設問で文章の長いものを読んでおくようにしています。
先ほども言及しましたが、これらパートは先読みが肝心となります。
文章が長いところはつまずきやすく、一度つまずくと後々まで影響を及ぼす危険があるので、この時間は先読みにあてるようにしています。
いずれにせよ、時間不足に陥りがちな試験で2分という時間は価値のあるものです。無駄にせず有効に活用してください。