TOEICリーディング読解パート(Part7)を攻略する
TOEICリーディングパート7はTOEICの性格を最もよく体現しているセッションです。以前「TOEIC/TOEFL/英検…それぞれの意義」でも言及しましたが、TOEICの出題範囲は日常生活の中で接するものです。パート7もその例に漏れません。パート7の問題形式も広告や案内・通知、中には文章がほとんど含まれていない表やフォーム等まであります。
このように、TOEICリーディングパート7は読解問題ですが、あくまでも日常生活を送る上で必要となる「読解」力を測定するものです。
ここで要求される読解力は、その文章から何か学術的・抽象的なものを読み取る能力ではなく、簡単に書かれているものの内容・要点をすばやく読み取る能力です。この力こそが、日常生活の中で最も重要な能力だからです。
TOEICリーディングの「読解」、日常生活の中の「読解」
この能力はあまりにも頻繁に使用されているので普段意識することはありません。
例えば、新聞と一緒に多くの折込広告が配られてきます。主婦の方なら毎日目を通されていると思います。しかし、広告一枚一枚、隅々まで目を通す方はいないでしょう。そんなことをしていたらそれだけで日が暮れてしまいます。
普通、広告を一目見た段階でそれが何に関するものなのか読み取ります。大きなフォントで書かれているものを見ればすぐ分かるからです。その中で必要なもの、興味を引かれたものについてのみ読んでいきます。
「読む」というよりは、情報を「捜す」と言った方が適切かもしれません。その中でも重要なのが価格でしょうか。安いと思ったらさらに細かく目を通していきます。
セールの広告だったら日時や期間、通販だったら送料なども重要になってきます。日常的に見ているバーゲンセール等の広告だったら、どこに何が書かれているのかだいたい分かっているでしょう。そうなれば本当に必要なところに目を遣るだけです。
日常生活で必要になる読解力はこのようなものが大半です。本を読まなくても生活には困りませんが、通知やメール等は生活や仕事上読まないわけにはいきません。TOEICのリーディングで問われる読解力とはこの能力なのです。
日本語でできて英語でできない原因
TOEICリーディングパート7はこれら日常の中で行っていることを英語に置き換えるだけです。ところが、母語では無意識で行っているこの行為が英語になるととたんにできなくなってしまうのが不思議なところです。
英語になるとできなくなってしまう理由としては、例えば下記のようなものがあるでしょうか。
1.身構えてしまう
日本で生活していると英語に接することはあまりありません。それこそTOEICのような資格試験で接するぐらいでしょうか。
これまで学校で受けてきた英語の試験は翻訳したり内容をしっかり読み取る必要があるものばかりでしたので、この延長線上でTOEICリーディングパート7を解答してしまいます。全部読まなければいけない、という強迫観念に駆られてしまうのです。
2.形式に慣れていない
出題される内容は生活に密着しているものばかりですが、形式は日本のものとまったく同じとは限りません。
また、広告などでよく使用される略語に慣れていないこともあります。略語は知らないと思わぬ足かせになることがあります。
日常生活の中のTOEICリーディング学習教材
TOEICリーディングパートで出題される素材が日常生活に由来するものであるならば、こちらも日常生活の中でそれら素材に接するようにしてはどうでしょうか。
もちろん、英語圏で生活しているわけではないので何から何まで英語で、というわけにはいきませんが、工夫次第でこれら英語素材に接する機会を増やすことも可能です。
そこで、日頃の学習の中でできるTOEICリーディングパート7対策のための勉強方法についていくつか考えてみたいと思います。
1.新聞・雑誌
新聞や雑誌の全てに目を通す人はいないと思います。新聞だったらまず1面が目に入ります。見出しを確認し、興味を持ったら冒頭のの要約文に目を通します。 それから本文を読むか、それとも別のものを読むか決めます。
1面が終わったら新聞をめくりながら同じ事を繰り返していきます。読みなれた新聞だったらどこに何が書いてあるか分かるでしょうが、それでも見出しをから文章について推測し、読むものを決めていくでしょう。
雑誌も同じです。まず表紙に印刷されている活字から興味を引かれたものを手にします。それから目次に目を通し、興味のある記事にざっと目を通します。じっくり読みたければ購入するかもしれません。
これを英語でやってみましょう。英字紙や英文の週刊誌は手軽に購入できます。外出時に読みたいということでしたら『The Japan Times 』等を定期購読するのがいいでしょう。自宅でしか読まないということならインターネットがおすすめです。世界中の英字紙、雑誌をオンラインで読むことができます。
ここで重要なことは、勉強として取り組まないことです。あくまでも情報収集として読んでください。辞書は禁止です。分からない単語は飛ばして読んでください。全然理解できないような場合はもっと難易度の低い文章に切り替えてください。探すときも英語で探します。これも訓練の一環です。
2.サーチエンジン
インターネットの使用に際して不可欠な存在となったサーチエンジンですが、これらサーチエンジンによる検索も立派なTOEICリーディングパート7対策となります。
Google等のサーチエンジンで検索をかけると検索結果としてタイトルと文章の一部が表示されます。そこから必要としている情報を提供していそうなサイトを探し、 そのページを開いてみます。ざっと目を通して本当に自分に必要な情報が掲載されているかどうか確認します。有用そうなサイトだったらお気に入りに入れ、じっくりと読んでください。
このように、サーチエンジンはTOEICリーディングパート7対策として非常に有用です。検索し、必要な情報を集めるという行為はTOEICリーディングパート7に直結するものです。
新聞や雑誌の閲読に限らず、興味のあることはどんどん検索していってください。そうしている間にリーディング力はどんどん上がっていきます。
3.ダイレクトメール
ダイレクトメール(DM)は広告です。これはTOEICリーディングパート7の広告文に対応できます。インターネットを使えばダイレクトメールをEメールで受け取ることができます。
日本語DMだったらゴミ扱いですが、英語DMだったら貴重な学習教材となります。配信スタンドに登録すればいろいろなメールを受け取れますので、一度試してみてください。
この他にも身の周りにはちょっとした工夫やアイデアを凝らせばいくらでも学習に利用できるものがあるものです。生活環境や趣味など、学習に活かせそうなものは総動員してリーディング力の強化に努めてください。
TOEICリーディングパート7対策
TOEICリーディングパート7対策はなにより慣れることです。多くの題材と接するとパターンがつかめるようになります。
もともと広告やメールなどは読み手側に分かりやすいように書いてあります。パターンさえ飲み込むことができれば、想像以上の速度で解答できるようになります。
問題はどのようにそれら素材と接する環境を作るか、というところにあります。日本で生活している以上英語圏の素材に触れることはあまりありません。報道記事は英字紙を読むことで、広告はインターネットなどで対応できますが、ビジネスメール等は仕事で英文メールをやり取りする機会のある方以外は接する機会がありません。
そのため、パート7対策としては、やはり問題集を使用されることをおすすめします。パート5やパート6と比べパターンがつかみやすいので、1、2冊解くだけでも効果は十分に期待できます。ここではおすすめの書籍を一冊ご紹介しておきます。
『TOEICテストスーパートレーニング リーディング編』
米山達郎著 研究社
本書はTOEICリーディングパート7の傾向と対策、5回分の演習問題とその解説、ビジネス関連の頻出単語集から構成されています。
本書の特徴は設問が絶妙なところです。市販の問題集の中には問題の難易度を上げるために、実際にはTOEICでは出題されないような難易度の高い単語を使用するものがありますが、本書にはそのようなものは見受けられません。
問題の文章そのものはさほど難しくはないのですが、よくポイントをおさえているのでパート7の練習としては最適です。問題も5回分あるので、分量も申し分ありません。
TOEICリーディングパート7の分析とその対策の解説もしっかりしています。TOEICパート7の傾向と対策方法を知る上で欠かせない一冊です。