実践!効果的英単語学習
教材は準備できましたか?準備ができたらあとは実践あるのみです。
ここで大切になるのはコツをつかむことです。まずはあわてず、ゆっくりと基本を身につけることに専念してください。ここで紹介する英単語学習法は1週間から10日のサイクルで英単語を覚えます。以下順を追って説明していきます。
なお、あらかじめ言っておきますと、この方法は初中級レベルの英単語を覚えることを目的としたものです。上級レベルの英単語については稿を改めて解説します。
1.音声を聞く(テープ等がない場合は飛ばしてください)
まずは音声を聞きます。少なくても3回は聞いてください。時間と気力がある方はディクテーションしてもいいですが、英単語を覚えることだけが目的であるならば別にそこまでしなくても構いません。
2.文章を読む
まずはざっと読んでみてください。文章の難易度は高くないので、内容を理解するのは簡単だと思います。
読んでいる途中で「知らない英単語」があった場合は、すぐに辞書を引かず、文章の前後や全体の流れから意味を推測してください。
また、「知らない英単語」「覚えている気はするけど曖昧な英単語」、「音声を聞いた際聞き取れていなかった英単語(音声がある場合に限る)」がありましたら、丸や四角で囲むなり線を引くなりしておいてください。
3.対訳を読む
日本語訳を読んでみて、自分の理解が正しかったかどうか確認してください。
4.英単語の確認
チェックした英単語について確認していきます。新出単語については、発音が分からない場合は必ず辞書を引き確認してください。発音が分かる場合は対訳で大体の意味が確認できるので、必ずしも辞書を引く必要はありません。(※補足:辞書の使用について)
なお、このとき対訳の日本語に過度に依存しすぎないように気をつけてください。対訳は程度の差こそあれ意訳されている部分がありますので、対訳の日本語=英単語の意味となる訳ではありません。
日本語の対訳は補助的なものです。あくまでも英文の中で英単語を意味・用法を理解するようにしてください。
「覚えている気はするけど曖昧な英単語」についても確認する必要がありますが、おそらく発音は分かっていると思いますので、この場合は辞書を引く必要はありません。
ただし、発音も曖昧な場合は必ず辞書で確認してください。対訳でだいたいの意味を確認し、文章のなかで用法を理解してください。
なお、確認した発音や意味ですが、通常の紙による場合とテキストデータの場合ではやり方が変わってきます。
紙で行う場合は、教材の余白に意味、発音を書き込んでください。単語帳の作成は先に述べたようにおすすめできません。
単語帳をつくるとどうしても手間がかかりますし、データベースソフトで作成した場合のようにソートや編集ができないので、単語が増えれば増えるほど非効率になっていきます。
テキストデータの場合はExcelやAccess等でデータベースを作ってください。シンプルなものならエクセル等の表計算ソフトが手軽ですが、高機能なものを作る場合は、アクセス等のデータベースソフトが便利です。(※参照:単語データベースを作成する)
英単語を確認する際もう一つ注意すべきことがあります。それは、自分のレベルと比べて難易度が高すぎる英単語は飛ばすことです。
なぜ飛ばしてしまうのかと言うと、一言で言ってしまえば覚えられないからです。
難易度の高い英単語は使用頻度が低いので、この学習法はあまり向いていません。この学習法を成功させるには、学習する英単語を一定のレベルに保つ必要があります。
覚える英単語と覚えない英単語に線を引く方法はいろいろあります。例えば、もし資格試験を受ける予定なら、自分の目標を達成するのに必要な範囲の英単語を覚えるようにしてください。
例えば、英検準2級を受けるのに、1級に必要になる語彙を覚える必要はありません。
線引きの際は各種資格試験対策書やアルク社の「標準語彙水準12000」等を目安にされることをおすすめします。
5.もう一度読む
全て確認が終わったら、改めて文章を読みます。読む際チェックした英単語については2回発音し、適当な紙に書き取ってください。
書き取る際は10回も20回も書く必要はありません。英単語を見ずに書き取ることができれば十分です。
英単語の意味については「こんなような意味なんだ」といった感じで流してください。
大切なのは日本語の意味そのものではなく、文脈の中で、どのような英単語と一緒に、どのようなニュアンスで使われているか、という点を「理解」し、その英単語が表すものそのものを「イメージ」することです。
この段階では英単語の日本語訳は追いかけずに、英単語の用法を理解し、英単語と文章全体をイメージすることに集中してください。
これで初日は終了です。
2日目~(第1段階)
翌日、同じ文章を改めて読みなおしてください。この場合も初日と同じように、チェックした英単語まできたら2回発音し、書き取ってください。
3日連続(あくまでも目安です)でつづりを間違えずに書き取れた場合は、次回から書き取りをする必要はありません。
また、英単語の日本語訳についても、初日と同様に流していくようにしてください。無理に覚えようとする必要はありません。書き込んだ日本語訳を見るのも自由です。
この段階では大切なのは英単語の意味ではなく、あくまでも「理解」と「イメージ」です。これを数日続けます。
期間については選択した文章の長短や難易度によるところが大きいので一概に申し上げることは難しいですが、慣れるまでは長めに取った方がいいと思います。1週間ぐらい続けてみてください。
第2段階
文脈のイメージ化が終了したら、第2段階に進みます。
第2段階は文章を読まずに、直接チェックしてある英単語を見ていってください。
英単語が目が留まったらすぐに発音し、意味を思い浮かべてください。意味が出てこない場合は、前後の文章に視野を広げ、イメージしてきた文脈を思い浮かべてみてください。そこから英単語の意味を引きずり出してみてください。
英単語を見てすぐに意味が思い浮かぶようになったら基本的に終了です。この文章はしばらく漬け置き期間に入ります。
第3段階
漬け置き期間は、対象となっている語彙の難易度によってまちまちです。語彙のレベルが低い場合は1ヶ月ぐらい置いておいてもいいのですが、中級から上級に差し掛かるぐらいの難易度の語彙の場合は、期間を短めにしてください。
数を増やす場合
これで1セットとなります。ところが、これだけでは10日前後で10個から20個の英単語しか覚えられません。それでは少なすぎるので、量を増やす必要があります。
量を増やす場合は文章を長くするのではなく、同時に行う文章の数を増やすようにしてください。
なお、この際注意しておくことがあります。文章を増やす際は、スタートする日付をスライドするようにしてください。
例えば、文章Aの2日目に文章Bの初日を持ってきます。そして文章Aの3日目、文章Bの2日目に文章Cを始めます。このようにスタートする日付をずらすことで、負担を平準化することができます。
時間に余裕がない日もあると思いますが、このような場合は既にスタートしている分を優先して、新規に始める分は後日に持ち越してください。
手間がかかるのは初日だけで、スタートしている分はきわめて短時間で終わるので、よほどのことがない限り時間がなくてできないということはないと思います。
第4段階
一定期間経過したら、確認と復習を行います。やり方は第2段階で行ったように、チェックした英単語に次々と目を移していきます。
英単語を一目見た段階ですぐに意味が出てくれば、その単語は既に覚えたと見なします。
文章レベルの選択や、イメージ化等に成功している場合は、ほとんど覚えていると思います。
逆にレベルが高すぎる文章を選択していた場合や、イメージ化に失敗していた場合は、記憶できていない英単語の割合が高くなります。
この場合は文章と英単語の難易度を見直し、再度イメージ化からやり直してください。
なお、どんなにうまくいっても、ポツポツと忘れているものがあります。それについては改めて文章を読み直し、意味・用法を確認した後、別途処理を行います。
これも紙の場合と、テキストデータの場合でやり方が異なります。
紙の場合
紙の場合は別途単語カードを用意します。単語カードといっても市販の単語カードはおすすめできません。小さすぎるからです。小さな字で書き込んでもたいした量を書き込むことができませんし、何より見にくいです。
私の場合は、A6のメモ用紙を使用しました。表には英単語以外に、出典テキスト名、ページ等を書き込みます。文章を参照するためです。裏には日本語の意味を書き込んでください。なお、出典テキスト名は、記号等に置き換えると手間が省けます。
使用方法は単純です。表の英単語を見てすぐに意味が言えるようにします。OUTPUT対策に使用する場合は逆も行います。意味が出てこない場合はテキストの文章を参照し、イメージ化を再度行ってください。
意味が出てくるようになったら、また寝かします。一定期間を経過したらまたやり直してみてください。
テキストデータの場合
確認方法についてはデータベース化している場合も紙の場合と同様です。英単語を見てすぐに意味が出てこればOKです。
もし出てこない場合は、文章を読みなおし、英単語の意味と用法を確認しなおしてください。
テキストデータの場合、英単語をデータベース化しているのでソートは簡単です。忘れているものにはチェックを入れ、覚えるまでイメージ化と確認を繰り返してください。
自然に覚える
この英単語学習法のポイントはたくさんの文章に接することにあります。新出単語の割合が低いということは既出の単語に接する機会が多いわけで、無意識のうちに過去覚えた単語の復習を行っていることになります。
寝かせる期間を設けるのは、英単語を覚えたかどうか判定するためだけではなく、この期間中に他の新しい英単語を覚える過程で、覚えた英単語が文章中で使用されるのを期待しているからです。
「無意識に単語を使用しながら覚えること」。これこそが、この英単語学習法の主眼です。
なお、あらためて注意しておきますと、この英単語学習法はいわゆる「受動的語彙力」を短期間で伸ばすことに重点を置いています。
TOEIC等、アウトプットを問われない試験の場合はこれだけで十分対応できます。
アウトプットが必要になる場合は、この「受動的語彙力」を「能動的語彙力」に変換していく必要があります。
これについては別途スピーキング学習の項で解説していきます。